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預金の引出しは相続財産の処分には該当せず、相続放棄が成立した事例(審判所)

 被相続人の預金を口座から引き出した行為は相続財産の処分に該当し、相続放棄はできないとして国税の納付義務を承継するとされた事案で、審判所は、これらの行為は相続財産の処分には該当しないと判断し、原処分庁の処分を取り消しました(令和2年4月17日裁決)。
 被相続人甲は生前、A社の代表取締役を務めていましたが、A社が国税を滞納しており、その保証人として納付義務を負っていました。また、甲はB社の顧問を務め、顧問月額100万円を受け取っていました。甲は自身の死後も末子が成人するまで、毎月50万円を振り込むようB社の経営者Kに依頼していました。平成31年1月に甲は死亡、K依頼されたとおり、同月に50万円を振り込み、妻のXはすぐに口座から出金しました。原処分庁は甲の滞納国税が相続人に承継される旨通知し、甲の不動産を差し押さえました。Xはその後相続放棄の申述を行ったものの、甲に対する顧問料が原資となった50万円を既に引き出しているため、Xの行為は相続財産の処分に該当し、単純承認をしたとみなされるために相続放棄はできず、滞納国税の納付義務を承継すると主張していました。
 これについて審判所は、Xが口座から50万円を引き出しても保管の態様が払戻請求権から現金に変わるだけで占有権が変更されるわけではないこと、50万円は封筒に入れたまま使わずに残していたというXの申述は不合理とはいえず、費消したという証拠もないことから、相続財産の処分には該当しないと判断、原処分を全部取消しました。

 審判所は、上記のように滞納国税について判断しましたが、民法上その他の債権債務については、どのように取り扱うのか、疑問が残ります。銀行などの債権者はどうされたのでしょうか。

令和3年3月



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