お役立ち情報|法人の方向け
特殊支配同族会社の役員給与規制は条件付で廃止
【税制改正関係】
税理士業界にとって朗報となったのは、悲願だった「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の廃止」だ。揮発油税等の暫定税率廃止とは反対に、12月初旬の税調審議では廃止に伴う財源確保が困難としていったん見送りが決まったものの、マニフェスト項目として民主党がなお税調との調整を必要とした結果、21日から22日にかけて、急転直下で廃止が決まった。
廃止となるのは、22年4月1日以後に終了する事業年度からで、22年3月期の決算を最後に同制度の申告はなくなる。
ただし、注意したいのは、同制度の廃止には「給与所得控除を含む所得税のあり方についての議論の中で、個人事業主との課税の不均衡を是正し、二重控除の問題を解消するための抜本的措置を23年度改正で講ずる」との条件が付けられている点だ。同制度は、もともと石弘光氏が政府税調の会長だった時代に「給与所得控除の見直し」ができなかったため、いわば「江戸の仇を長崎で」同規制が設けられたと言われる。
23年度改正での検討は、これを「江戸の仇」にリセットし直して、所得税で手当することを意味するのだ。
平成21年12月 顧問先様専用ページより抜粋
広島市の一税理士より
社員により横領された商品も仕入税額控除認められる
仕入れ担当の社員により横領された商品は、消費税の仕入税額控除ができるか否かをめぐる審査請求で、国税不服審判所は「横領品の仕入れでも税額控除はできる」と判断し、原処分を取り消していたことがこのほど明らかになった
(21年4月6日裁決)。
請求人X社の仕入れ担当者だったAは、X社名義で仕入れたパソコンを私的に流用し、中古業者に横流ししていた。後にこの不正行為が発覚、Aは解雇となったが、横領された商品の仕入れに係る仕入税額控除の可否について、納税者と原処分庁との間に争いが生じた。原処分庁の主張は、「X社が仕入れた商品をAが横領したのではなく、Aが横領した代金をX社が支払ったものであり、請求人が仕入れた商品は存在しない。したがって、本件取引金額を控除対象仕入れ税額の計算に含めることはできない」というものだった。
これに対し審判所は、本件取引は(1)X社が取り扱っている事務用機器であること、(2)発注先は主要な仕入先の一つであり、発注はX社名義で行われていること、(3)発注先もX社との取引と認識していたものと認定。本件取引はX社とは無関係に行われた取引とは認められず、X社が事業として資産を譲り受け、これに対する対価を支払ったとみるのが相当と判断。本件取引金額は控除対象仕入税額の計算に含めることができるとして、原処分庁が行った消費税等の更正処分・賦課決定処分を取り消した。
顧問先様専用ペ-ジより抜粋 平成21年10月
広島市の一税理士より
特殊支配同族会社の役員給与の損金不参入制度
与党の平成19年度税制改正大綱では、掲題の制度は、平成19年4月1日以後に開始する事業年度から、適用除外基準である基準所得金額を800万円から1,600万円に引き上げることとなるようです。
これは、朗報です。やっと、お上も中小企業に気遣いをしてくれるようになりました。もっと早くしてよ。次は、制度を撤廃してね。
もともと、この制度は、要件に90%以上の議決権を持つなど、資本構成に深く関連しています。いったん制度の適用ありとなると、100万円程度は税額アップとなることがあります。それを避けたいのは、人情でしょう。
その結果、税法が企業の資本構成に影響を与えるという、逆進的な効果を生みかねません。
お上のみなさん、企業を育ててくだせえ。資本構成は、相続、事業承継などプライベートな事情で検討されるのが、中小企業ってもんでごぜえますだ。
特殊支配同族会社の役員給与規制措置の廃止
衆院総選挙で予想どおり、民主党が圧倒的勝利を納めた結果、自民党から民主党への政権交代がようやく現実のものとなった。民主党政権の実現でさまざまな変化が予測されるが、税制改正プロセスの変更も重要なものの一つ。これまでの民主党の税制改革大綱やアクションプログラムを見ても、自民党とは全く異なる動きが確実視される。
ところで、民主党に政権が移行したことで、来年度の税制改正で実現が確実視されているのが特殊支配同族会社の役員給与規制措置の廃止。同制度については創設当初から強い批判が起こり、限度額を800万円から倍の1,600万円に引き上げられても廃止を求める声がやむことがなかった。そこで、先の第141回国会では、野党だった民主党が参議院でその廃止案を議員立法で成立させて衆議院に送付したものの、自然消滅したという経緯がある。しかし、衆議院でも多数を占めることになった結果、廃止案を衆議院で可決の上、既に廃止を可決している参議院に税制改正法案を送ることができることになる。その結果、マニフェストで約束したとおり、ようやく同制度の廃止に持ち込めるわけだ。
ただ、そうなると、今度は給与所得控除制度の見直し論が再浮上してこよう。もともと、天井知らずの状態にある現行の給与所得控除制度の課税上の弊害に対応するために、批判を承知で創設された制度だったからだ。
顧問先様専用ペ-ジより抜粋 (JDL情報)
広島市の一税理士より
交際費
交際費課税と少額の飲食費等
資本金1億円以下の中小企業には、600万円までの定額控除枠がありますが、これと少額飲食費等を上手に組み合わせることによって交際費課税額を抑えることも可能です。今回は、少額の飲食費等についてみてみましょう。
(1)制度の概要
法人税では、交際費は原則として全額損金不算入とされていますが、資本金等の額が1億円以下の法人については、支出した交際費額のうち定額控除額までの部分の金額は、その90%相当額が損金に算入されます。定額控除額は事業年度が1年の法人については600万円で、事業年度が1年に満たない場合には、50万円に事業年度の月数を乗じた金額とされます。
ただし、平成22年度税制改正で、資本金等の金額が1億円以下であっても、資本金等の金額が5億円以上の法人の100%子会社や相互会社の100%子会社には、定額控除は適用されないこととなりました。
(2)少額の飲食費等
交際費のうち、一人当たり5,000円以下の少額な飲食費等は交際費課税の対象としないこととされています。これは資本金等の金額が1億円を超える法人も同様です。
対象となるのは、飲食等に限られますが、自社の役員や従業員のみでの飲食は対象外です。交際費課税の対象にされないためには、領収書のほかに参加者全員の氏名と所属等を明らかにする書類を保存しておく必要があります。5,000円以下かどうかは、支払った金額を参加人数で除して判断しますが、消費税については、税抜き経理をしている場合には消費税抜きで、税込み経理の場合には消費税込みで5,000円以下かどうかを判断することになります。
また、一人当たり5,000円以下かどうかは、一回の飲食等で判断されますから、二次会を行ったような場合には、一次会と二次会の費用の合計ではなく、それぞれごとに5,000円以下かどうかを判断します。ただし、領収書を分割したり、人数を水増ししたりして一人当たりの金額が5,000円以下となるような操作を行うと、仮装隠ぺいとして重加算税の対象となります。
(3)パーティ等の費用
一人当たり5,000円以下の飲食費等のなかには、飲食店等での飲食にかぎらず、仕出しの費用やホテル等で開催したパーティ等の費用も含まれます。参加者一人当たりの金額が5,000円以下であれば交際費課税の対象としないことができますが、参加者が多数の場合でも、参加者の氏名や所属等を明らかにしておかなければなりません。
たとえば取引先等を招待してパーティを開いたような場合には、そのパーティに要した費用の合計額を参加者の人数で除した金額が5,000円以下であれば交際費課税の対象としないことができますが、そのためには、参加者の所属までがわかるような名簿を保存しておく必要があります。
また、業界団体の会費制の懇親会等に参加したような場合には、その懇親会に要した費用が一人当たり5,000円以下であれば交際費課税の対象外となりますが、実際問題として懇親会の主催者に一人当たり要した金額を確認することが困難な場合が少なくありません。このため、会費制のパーティ等の場合には、会費の金額が一人5,000円以下であれば差支えないことに取扱われています。
平成22年7月(jdl情報)
広島市の一税理士より
消費税の増税法案が衆議院を通過
紆余曲折を経たものの、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的
な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」、いわゆる消費
税の増税法案は、大幅な削除・修正が行われた結果、6月26日、衆議院で可
決、参議院に送付された。
法案は、民主・自民・公明の3党が合意していることから、会期を79日間、
9月8日まで延長した今国会(第180回通常国会)で、成立する公算が大き
い。
法案が参議院での審議を経て可決・成立すると、消費税率は平成26年4月
1日から8%に、その後、平成27年10月1日から10%に引上げられる。
改正後の税率は、平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等及び課税
仕入れ等について適用されるが、法案の附則に税率引上げに伴う経過措置が設
けられている。
例えば、請負工事等であれば、工事の完成が税率引上げ後の平成26年4月
1日以後になる場合であっても、指定日である平成25年10月1日の前日ま
での間に締結された請負契約に基づくものであれば、この経過措置により改正
前の税率の5%が適用される。
なお、法案の附則に規定されている主な経過措置は以下のとおり。
・旅客運賃等に関する経過措置
・電気、ガス、水道料金等に関する経過措置
・請負工事等に関する経過措置
・資産の貸付けに関する経過措置
・役務の提供に関する経過措置
・そのほかの経過措置
平成24年7月
国税庁 終身保障タイプのガン保険の取扱いを改正
国税庁は、平成13年に発遣した、いわゆる「ガン保険」通達を改め、新た
に「法人が支払う「ガン保険」(終身タイプ)の保険料の取扱いについて(法
令解釈通達)」を公表した。
「ガン保険」については、現在のがん保険の商品全体の実態が平成13年の
通達発遣時とは変化しており、保険契約を解約した場合の解約返戻金の返戻率
が相当高くなっている事例が散見される等の事情から、支払保険料を全額損金
とする取扱いの変更が検討されてきた。
今回の改正にあたり国税庁では、事前に通達の改正案を示してパブリック・
コメントを募り、寄せられた意見を参考にしたうえで取扱いの変更を行ってい
る。
公表された新しい通達では、「ガン保険」の支払保険料に含まれる前払保険
料については資産計上することとしており、具体的には平成24年4月27日
以後、新たに契約する「ガン保険」の保険料から、支払保険料の2分の1相当
額を資産計上することとした。
ただし、保険契約を解約等しても払戻金のない一定の保険契約については、
例外的に払込保険料の全額損金が認められる。
なお、平成24年4月26日までの既契約分については、改正前の通達の取
扱いによるとされており、終身払込の場合、支払保険料の全額損金算入が認め
られる。
改正された通達は、国税庁HPで確認することができる。
平成24年7月