2021/08/24 14:19:19
経営者の個人的な飲食代金を交際費
経営者の個人的な飲食代金を交際費に計上した行為は重加算税の対象となる仮装・隠ぺいに該当するか否かをめぐる争いで、東京地裁は、納税者の説明からは接待交際の事実が認められないとして、課税処分は適法と判断しました(令和2年3月26日判決)。
X社など3社の経営者であるAは、平成22年から27年の間に4店舗のクラブを計372回利用し、7,000万円近くの費用を支出しました。3社は法人税の申告においてこれらの金額を交際費として損金の額に算入するとともに、消費税の申告において課税仕入れに係る支払対価の額に算入しました。課税庁はこれらの金額をAの個人的な飲食代金と認定し、修正申告を勧奨しました。3社はこれに応じ、本件費用をAに対する貸付金として処理した上で修正申告をしたものの、その後仮装・隠ぺいを認定され、重加算税の賦課決定処分を受けたことから、「修正申告は税理士が勝手に行ったもの」として提訴しました。
裁判で原告は、Aが支出した費用は原告の接待等に要した交際費であると主張しました。これに対し東京地裁はまず、本件修正申告はA及び原告3社の了承の下に行われた有効なものであると指摘しました。その上で、総額約7,000万円、1回当たり約20万円という高額かつ高い頻度の接待を行うことが原告の業務と関係があったとする合理的な説明はないとして、Aの個人的な飲食代金であったと認定しました。よって仮装・隠ぺいに該当するとして原告の請求を棄却しました。
経営者の個人的な飲み代など事業に関連しないものについては、気をつけましょう。なかなか線引きがむつかしいものもあります。なるべくメモなどでも残し、足跡をのこしましょう。
2021/07/27 13:08:38
個人住民税の過納金は他の滞納分に充当すべきと判断 (最高裁)
滞納となっていた複数年分にわたる個人住民税とその延滞金等について、いったんは納付され、その後、ある年分の住民税について減額の賦課決定によって過納金が生じた場合の還付金等に関して争われた事件で、最高裁はこのほど、控訴審の判断には明らかな法令違反があるとしてこれを破棄し、還付すべき過納金の額等について更に審理を尽くさせるため控訴審に差戻しを命じる判決を言い渡しました(最高裁令和3年6月22日第三小法廷判決)。
この事件において、控訴審では、減額賦課決定に係る税額を超えて徴収された過納金については、徴収の時点から法律上の原因を欠いていたものであるから、そのまま過納金として還付されるべきであり、その徴収当時、他に滞納分が存在したときであっても、その他の滞納分に充当されたものとして延滞金等を計算する法的根拠は存在しないと判断していました。
これに対して最高裁は、本件のようにある年分の住民税に過納金が発生した場合に、他に滞納分があるときは、まず他の滞納分に過納金を充当すべきであると判断しました。なぜなら、他の滞納分に過納金を充当しなければその分に係る延滞金が余計に生ずることになり、還付金の総額に影響することになるためです。この点で、過納金を他の滞納分に充当することをせずに、そのまま還付することとした計算には誤りがあるとして、納税者側に軍配を上げました。
その結果、控訴審の判断には明らかな法令違反があることから破棄は免れないと判示し、還付すべき過納金の額等について更に審理を尽くさせるため、控訴審に差し戻しました。
よく起こりそうなことです。この判決で、行政の対応が変わるものと思われます。
2021/07/19 11:13:26
コロナ禍における所得税等の申告状況
国税庁がこのほど公表した令和2年分所得税等の確定申告状況によると、申告者数や所得金額は増加したものの、コロナ禍により、申告税額は前年に続いて減少になったこと、納税者本人が自宅からe−Tax送信による申告が大幅に増加したことが分かりました。新型コロナウイルス感染症のまん延・拡大に伴い2年連続で申告期限が1か月延長されたことから、4月末までの申告書提出分が含まれています。
令和2年分の所得税の確定申告書提出者は2,249万人(前年比2.1%増)、うち申告納税額のある人は657万人(同4.3%増)で、申告所得金額は42兆5,497億円(同2.2%増)となりました。ただし、申告納税額をみるとコロナ禍における地価下落に伴う土地等の譲渡所得の減少や緊急事態宣言における自粛要請などによる所得の減少から3兆1,653億円と1.6%前年を下回り、2年連続減少しました。そんな中、雑所得については、社員に副業を認める企業も増えたことなどから8兆2,922億円と6.1%増加し、その申告納税額は657億円と21.4%も大幅に伸びています。
また、コロナ禍もあり、納税者本人の自宅からのe−Taxが320万7,000人へと大きく伸び、税務署申告会場におけるe−Tax利用者の323万2,000人と拮抗しました。外出自粛を背景に、5年前は確定申告者の2%程度だったのが、令和元年分は8.4%、2年分は14.3%と飛躍的に伸びました。当局が思い描いていた税務署会場でe−Taxに慣れてもらい、翌年には自宅からという導線が実現しつつあります。スマートフォンを利用した申告件数も飛躍的に伸び、e−Taxによる送信は倍増の101万8,000人と100万人を突破しました。
コロナ禍により自宅からの電子申告やスマートフォンを利用した電子申告が増加したようです。ますます行政の電子化が進みそうです。
2021/07/07 15:33:23
新型コロナ対策の実質無利子・無担保融資は年末まで継続
経済産業省はこのほど、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた事業者に対して、政府系金融機関(日本政策金融公庫及び商工中金)が行っている実質無利子・無担保融資の施策について、昨年12月の経済対策で「当面今年前半まで」としていた申込期限を「当面年末まで継続」することを明らかにしました。
政府系金融機関による実質無利子・無担保融資は、新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1か月間の売上高が前3年のいずれかの年の同期と比較して一定程度減少することを要件とするものです。国からの利子補給で3年間無利子となります。売上高の減少が5%であれば、当初3年間は基準利率から0.9%を引いた低利融資をします。中小事業・危機対応においては1.11%が0.21%、国民事業は1.26%が0.36%となります。さらに、売上高が、小規模の個人事業主は5%減、小規模の法人は15%減、その他は20%減の要件を満たせば、利子補給を通じて当初3年間、実質無利子・無担保融資とします。なお、直近1か月の売上減少の要件については、直近2週間以上での比較も可能とされており、より柔軟な対応がなされている模様です。
実質無利子・無担保融資の上限額は、国民生活事業が6,000万円(8,000万円の融資枠との併用可)、中小企業事業が3億円(同じく6億円の融資枠との併用可)。利率は、融資を受けた当初3年間は実質無利子。いったん利子を支払う必要があるが、後に利子分が助成されます。
無利子借入は、ありがたい施策です。多くの中小企業がとりあえずやっておくという調子で飛び付きました。これから、計画的な返済をやっていきましょう。
2021/06/23 19:41:12
教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税非課税の改正
国税庁はこのほど、令和3年度税制改正による期限の延長と課税強化に合わせて、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」を新たに公表しました。祖父母など直系尊属からの教育資金一括贈与の非課税制度は、適用期限が令和5年3月末まで2年間延長されたものの、贈与者が死亡した場合の残高は相続税の課税対象になるとともに2割加算の対象とする課税強化が行われています。
「あらまし」によると、契約期間中(信託等をした日から教育資金管理契約の終了の日までの間)に贈与者が死亡した場合、贈与者が死亡した旨を取り扱う金融機関等の営業所に届け出する必要があり、令和3年4月以降に非課税制度の適用を受ける人はもちろん、既に平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に非課税制度の適用を受けた人も、令和3年4月以後に教育資金として拠出する分は、その死亡の日までの年数にかかわらず、受贈者が23歳未満などの一定の場合を除いて、その管理残額を、その受贈者がその贈与者から相続等により取得したものとみなされることになります。
しかも、その受贈者が贈与者の子以外(孫など)の者である場合は、その贈与者の管理残額に対応する相続税額について、相続税額の2割加算の対象となります。「あらまし」にはこれらの適用関係と管理残額の計算方法を示しており、既に同制度を利用している納税者も令和3年4月以後の拠出には注意したいところです。
この税制は、創設当初は、制約がすくなく、使い勝手の良いものでしたが、あれよあれよという間に、課税のメスが入ってしましました。お客様にも勧めやすかったのですが、今後はしっかり説明します。