押印漏れで相続税の申告書が無効か?
国税不服審判所が公表した裁決事例によると、押印が漏れている相続税申告書がその効力を認められるか否かをめぐる争いで、「納税者の意思に基づく申告書と認められる」と判断されたことが明らかになりました(平成27年4月1日裁決)。
請求人Xは法定申告期限内に相続税の申告書を提出したものの、押印を失念しました。税務署は、この申告書が国税通則法の規定を充足しておらず、Xの申告の意思を認めることができないため、申告書は有効なものと認められず、期限内申告にはならないとして無申告加算税の賦課決定処分を行いました。
これに対して審判所は、「申告書の効力については、押印がない場合であっても、単なる押印漏れであることも考えられるので、納税申告書として他の要件を具備している限り、押印がないことのみをもってその効力がないものとはいえない」と指摘した上で、本件申告書については、(1)遺産分割協議で成立した内容を基に共同相続人の総意により作成されたものであること、(2)Xは共同相続人である長女に税務署への提出を任せ、長女が現に提出したものであること、(3)Xが申告納税義務を認識し相続税を納期限内に全額納付したこと――などがそれぞれ認められることから、Xの意思に基づいて提出されたものと認めるのが相当であると判断しました。Xの主張を全面的に認め、申告書は有効であり、期限内申告に該当するとしました。
以前、知合いから、相続税の申告書に押印しなかった件について相談を受けたことがあります。無申告加算税を支払ったようです。 きついですよね。
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